社員教育でSDGsの先駆け「持続可能な社会へ挑戦する事業承継と戦略」株式会社ハチオウ(八桜)

産業廃棄物処理業の先駆けの会社として・・・

今回の女性部例会は「事業承継」がテーマでしたが、参加して感じたことは真の「社員の教育」は徳を積むことなのだ、ということです。

ですから、今回の内容は「社員教育」という角度から紹介していきます。

今回登壇されたのは、株式会社ハチオウの社長である森雅裕氏と会長森裕子氏です。
創業は1970年、雅裕さんのお父様、そして、裕子さんの夫である雅宜さんです。 ですから、雅裕さんと裕子さんは親子です。



そして、今回裕子さんの経営経験を中心にレポートしていきます。
ハチオウは産業廃棄物処理を行う会社です。取引先は大手企業や大学そして官庁、自治体と多岐にわたっています。
そして、
・私立大学環境保全協議会
・大学等環境安全協議会
・環境安全教育研究会
といった社会的な活動にも中心となって参画して、産業廃棄処理・環境問題の調査研究や啓蒙活動を行なっており、さすがこの業界の老舗、といった感じですね。

まさにSDGsの先駆けであり、環境問題にも最先端の技術を用いて取り組んできた企業です。

「ゴミ屋なんて・・・」仕事にプライドを持たせるために

ところが・・・裕子会長は当初、苦難を強いられていました。


裕子会長は家業で主に人事・経理関係を担当していました。

最初は中途採用していたのですが、満を辞して、いよいよ新採用をすることにしました。

そして、採用に奔走の結果14人の新入社員を採用。
これは当時中小企業では快挙で、取材が入ったほどでした。
「よかった!」と喜んでいた矢先に、裕子さんにとってショックなことが起きます。

ある日、新入社員が泣きながら客先から戻ってきました。

そして、 「この会社では、結婚したりなんかできない」 というのです。


なぜ、そのようなことをいうのか理由を聞くと

その新入社員が取引先に行くと受付の女性が「ゴミ屋が来たわよ、汲み取り屋来ましたよ」とひどい言い方をされました。
そして、化学系の産業廃棄物の回収にもかかわらず、自分たちの一般のゴミも含められた物をまとめて渡されたのです。
裕子会長はこの屈辱に本当にショックを受けました。


そして、そのことから奮起をしたのです。

「このままでは、ダメだ。社員が誇りを持てるような会社にしよう」と。

まずは、5社の取引先にちゃんと理解をしてもうために、会社トップに社員が受けた事実を語りました。
しかし、内心は「これでお客さんは失うかもしれない・・・」という不安もあったそうです。

ところが、5社のトップは
「それはいけない。御社のことを理解させるためにうちの社内報に書いてください。」
「うちの朝礼で言いたいことを言ってください」と受け入れ、理解を示してくれたのです。
そこから、少しずつ風向きが変わりました。


当時から産業廃棄業は世の中になくてはならず、役立つ立派な会社であったはずです。
しかし、世の中ではまだまだこの仕事に対する無理解が一般的であり、地位は低いものでした。


裕子会長の「世の中に産業廃棄業処理の、会社の意義を広めて、理解してもらおう」と立ち上がったことに、新入社員は嬉しく感じました。

これを実現するために毎朝の朝礼で会社や事業の意義を伝え始めました。

実は裕子会長は、このような役割を当時の社長にも、もちろんやってほしかったそうです。


しかし、典型的な?昭和の男性であった社長は思いを口にするのが苦手だったため、裕子さんが先頭に立ち、地道な活動を始めました。
それを見ていた社員たちは、裕子さんが動いたことがやはり嬉しかったようです。


社内勉強会から社外のシンポジウムへ

そんな裕子さんは、社内勉強会を行いました。
そして、その会には社外の専門家、企業人の方々も講師として登壇。

内容的にもレベルが上がり、とうとう「ハチオウ環境シンポジウム」を毎年、日経新聞ホールで開催するほどになりました。
そして、これは全て社員が運営しました。
それは裕子さんが「みんなシンポジウムにいらっしゃるけれど、その実、社員を見にくるのですよ」といって社員を鼓舞しました。


前述したようにSDGsでこのようなシンポジウムはたくさん開催されている昨今ですが、まさに先駆けですね。

そして、そのような日々の地道な社員へのミッション教育と社会への啓蒙の甲斐あって

「この仕事に誇りが持てる」 という声が社員の中から自然と湧き上がるようになりました。


このシンポジウムは12回も続いてきました。
ここまでの道のりを考えると、裕子さんの責任感と情熱で本当に社員、そして世の中を動かしてきた、と言えるのではないでしょうか。

そして、そんな活動に世の中がついてきたといったところでしょう。
その後、環境への取り組みに先鞭を切ってきたハチオウに、企業、大学、自治体が集まってきたのは前述した通りです。

経営理念が落とし込まれた瞬間

そして、今回聞いた講演の中で最も顕著な「社員教育の成果」というべきエピソードがあります。

それは2011年東日本大震災の化学系産業廃棄物処理の業務でした。
もう、この業界では有名であったハチオウにももちろん福島から廃棄処理の依頼がきました。
行くべきかどうか社内で散々話し合いました。

すると社員の中から 「ハチオウが行かなくてどうするんですか!」 という声が上がり、自ら手を上げてくれる社員が何人も出たのです。

しかし、裕子さんには放射能とは別にも悩みがありました。
この件は面識のない5社で協力し、1年2ヶ月間、総勢150人もの大プロジェクトです。

企業文化が全然違う、しかも危険を伴う業務をどうのように一致団結して進めていけるだろうか・・・と。

しかし、社員は裕子さんの想像を超えるほどの成果を出してくれました。

まず、社員だけでこのプロジェクトをどのように進めるか話し合ったそうです。
そして、出た結論は「みんな、普段やっていることをやろう」ということでした。
それは
・こちらから挨拶をする
・朝礼をする
・トイレ掃除をする
 
特にこれはハチオウの社員が毎日行ったのだそうです。

このようなハチオウ文化は、まさに「社員教育」で培われたものであり、また、それが落とし込まれた知った一瞬でした。


まさに「社員教育」で培われたものであり、また、それが落とし込まれた瞬間となりました。
そして、それが「世の中から信頼を得て、自分の仕事に誇りを持つ」 に他なりません。


社員の教育とは、人として徳を積むこと

裕子会長のずっと続けられてきた「社員育成」は「人間育成」そのものです。
それは仕事=徳を積む、ということ。

裕子さんの志として「社員教育は人間力であり、論語でいうところの「才(能力)と徳」ではやじろべえで例えると徳の方にやや傾くようにする」ことなのだそうです。 


そして、それを言葉や行動で伝えないと他者には気づかないものでもあります。

ですから、今回の講演では情熱を持って、伝え続けていくこと、そしてそれが社員の「徳」として花開くのであると実感しました。


株式会社ハチオウ 

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